上高地で雪上テント泊
上高地には2012年は5回、2013年は6回と結構なペースで通っているけど、冬の上高地はまだ行ったことはありませんでした。一度は行ってみたいと思いつつ、それなりの装備も必要になるため、数年前からコツコツと買い揃え、やっと行けると思った矢先に2月の大雪が重なってしまい、結局は初春と言ってもいいようなこの時期にやっと行けました。詳細は本文を読んで頂くとして、1日目は厳冬期とまではいかないにしても、それなりの吹雪の中の上高地となり、それとはうって変わって2日目のドピーカンな上高地と、一度で2つの季節を楽しんできました。
トレッキングデータ
2014年03月21日(金)〜22日(土) | |
---|---|
コース | 【1日目】(スタート)釜トンネル~大正池~上高地バスターミナル〜河童橋~小梨平(ゴール) 【2日目】(スタート)河童橋~上高地バスターミナル〜大正池~釜トンネル(ゴール) |
山 名 | |
累積標高 | |
歩行距離 | 【1日目】6.528km 【2日目】5.946km 【合 計】12.474km |
所用時間 | 【1日目】1時間44分 【2日目】1時間43分 【合 計】3時間27分 |
トレッキング
一日目
当初の予定では、9時40分沢渡発のバスで釜トンネルまで行く予定でしたが、沢渡の駐車場に8時30分に着いてしまい(9時に到着を想定していた)、1時間以上も待たなくてはならず、また、雪も降ってきたことから、予定を変更してタクシーで釜トンネルまで行くことにしました。値段はバスの3倍位かかりますが、時間を無駄にするのもなんなんで仕方ないよな〜、と自分に言い聞かせてタクシーに乗り込みます。しかし、この選択が間違っていたと気付くのは釜トンネルの中間地点に差し掛かろうとしていた時でした・・・。
釜トンネル到着。
タクシーの中ではジャンダルム縦走のビデオが流され、運転手さんもそれなりに山に詳しいのか、山談義で盛り上がりました。それと、やたら田部井さんを乗せたことを話していました。
トンネルの中は非常灯や、2箇所ほどこの写真のような明るい待避所(?)があるので、よほど暗いのが苦手じゃない限りはヘッドランプは必要ありませんが、たまに工事車両や関係車両が通るので、自分が見るための光じゃなくて、人に見てもらうための光は必要だと思い、途中からヘッドランプを点灯させました。まぁ、トンネル内に車両が入ってくると爆音がするので、端の一段高くなった所に上がれば、よほどのことがない限りは安全だと思いますが・・・。
と、ここでふと気がつく・・・。あれ? ザックの雨蓋に荷物を入れた覚えがない・・・。私の場合は通常1泊以上の時は雨蓋の中に直接物を入れることはしないで、防水バッグに入れてから雨蓋に収納する。今日は雪も降りだしたので、ザックカバーとオーバーパンツ代わりにレインウェアのズボンを履いたので、ザックのサイドポケットに少し隙間が出来た。じゃあ、その隙間に他の物を詰めようと、雨蓋に入っていた防水バッグを引っ張りだして、隙間に入るものを移し替えた。そこまでは良かったけど、引っ張りだした防水バッグを再び雨蓋に収納した覚えが全く無い・・・。恐る恐るザックの雨蓋部分に触れていみる・・・感触が無い・・・。あちゃ〜、やっちゃった〜・・・。どうするオレ? 再び沢渡まで取りに戻るか??? ここで冷静に考える・・・。防水バッグの中に何が入っていた? サングラス(まぁ、この天気なのでこれは無くてよしっ)、携帯電話(ガラケー。これもiPhoneがあるので無くてよしっ)、メガネ(コンタクトを外したら寝るだけなのでいらない)、予備のガス缶(冬場の場合は料理以外に暖房器具としても使うのでこれはチョット痛いけど1缶でなんとか頑張るっ)、GPS(GARMIN GPSmap 60CSx。これは痛い、ものすごく痛い。でも、これだけ取りに戻るもバカらしいので諦めた)、お酒(実はこれが一番痛かったかも・・・)、あとは何が入っていたっけ? 1泊するのに困るようなモノは入っていないはず・・・。とりあえず、小梨平まで行って荷物を確認して1泊出来そうもなければ、今日中に戻ることにした。そうと決まれば、サッサと小梨平に着きたい。
ほぼ中間地点。
でも、何で防水バッグを入れ忘れたかな〜? 記憶の糸をタグってみると・・・あっ! あれだ! 駐車場に着いて準備をしていたら、タクシーの運転手さんが近づいてきて、どこまで行くの? とかなんとか言って会話になって、バスまでかなり時間があるので、タクシーを頼んだら、速攻車の後ろにタクシーを持ってきてトランクを開けて待っていた。待たしちゃ悪いと思いつつ、ザックカバーを雑にかけてタクシーのトランクに荷物を放り込む・・・。そうだ・・・慌てて防水バッグを入れるのを忘れたんだ・・・。うう・・・。
釜トンネル脱出。20分くらいで抜けられた。バスで通っている時はもっと長くて急に感じたけど、思っていたよりあっけなかった・・・。
ふと、そうだ! iPhoneにもGPSログを取れるアプリを入れていたことを思い出し、使えるかどうかわからないけど、とりあえずログ取りをスタートさせる・・・。
小梨平に着いて、テントを張る場所を求めてウロウロした結果、ここに決定! 早速荷物を確認する・・・。とりあえず一晩泊まるのには問題無さそう・・・。
結局、釜トンネルの入口からここまで約2時間・・・。意外に近かった・・・。
30分以上もかかってようやくテントが出来た・・・。
テントはニーモのアンディ2(シングルウォール)。アライのエアライズ用に冬用の外張を購入していたが、設営が面倒そうなのと、もう厳冬期ってわけでも無いので簡単に設営出来るアンディにした。結局、どっちが正解だったんだろう???
実はこの時かなりの強風で2度ほどテントが飛ばされた・・・。
1度目は引き綱を予めセットしていなくて、こんがらがった引き綱を解こうとグローブで悪戦苦闘していて、ふと顔を上げたら、そこにあるはずのテントが無くなっていた・・・。辺りを見回すと今にも沢(小梨平にはキャンプ場内に小さな沢が流れている)に落ちそうな所に木に引っかかっていた。慌てて取りに行ったら、スノーシューを履いていたにもかかわらず、股下までズブズブと沈んでしまった。よく見ると沢に張り出た雪の上だった・・・。沢自体は深くはないけど、落ちたら洒落にならない。一歩一歩スノーシューで足場を固めながら進むも、次に強風が吹いたら完全に沢に落ちるか、梓川まで飛ばされてしまいそうだ・・・。最後は匍匐前進のように進み、なんとかテントの端をつかむことが出来た。
2度目は時折吹く強風の中テントをしっかり抑えながらこんがらがった引き綱と格闘していて、ふと、風が弱まった時に手を緩めた瞬間、テントが吹っ飛んでいった・・・。今度は方向は違うもののやはり沢近くの木に引っかかって止まった。慌てて追いかけて、今度もなんとかテントの端をつかむことに成功した。そんなこんなで、バタバタしながら竹ペグ、スノーアンカー、ピッケルを駆使して設営に成功・・・。そういうことで設営中の写真は無し・・・。2度目にテントが飛ばされた時に面白いから写真を・・・と頭を過ぎったけど、それどころじゃない!
とりあえずテントが立って、風にも耐えられそうなので、荷物をテント内に放り込んで、水の確保に向かう・・・。水を確保してテントに戻ると、テントの下に僅かな隙間が開いていることに気がついた。ここに風が入り込んだらまずそうだったので、雪で隙間を埋める。すでに整地し始めてから1時間以上も経っている・・・。
じっとしていると寒いので、持ってきたものを着こむ・・・。ここで雨蓋に入っていたものに気付く・・・。ダウンシューズ(通称、象足)とザックカバーが雨蓋に入っていたのだ・・・。まぁ、無ければならないってモノでもないけど、あれば多少は快適だったはず・・・。
それにしても、ブルーのダウンパンツと緑のダウンジャケット、極めつけの赤いシュラフ・・・ってどんな色の組み合わせだ・・・。
増税前の駆け込みのため今週は地獄の忙しさで、睡眠時間をあまり取れなかったせいか、シュラフに潜り込んだらウトウトと寝てしまった・・・。トイレに行きたく目が覚める。外はまだ吹雪いている。わりとトイレに近い所にテントを張ったけど、トイレにたどり着くのは大変だった。
夕食はいつもの豚キムチうどん・・・。
食後のアルコールも無いので、仕方なく就寝の準備を・・・って思ったら、再び雨蓋に入っていたものに気付く。コンタクトケースが雨蓋の中だった・・・。代わりになりそうなものを探すが、そんなものはあるわけがない・・・。一晩くらいならこのまま寝ちゃおうか考えたけど、やっぱりコンタクトのままだと気持ち悪いので、ハンカチを濡らしてその間にコンタクを入れて、ダウンジャケットのポケットに入れた。これで凍る心配はなさそうだ・・・。
水筒にお湯を入れて湯たんぽ代わりする。これだけで快適度は飛躍的に上がる。ホカロンも持ってきたハズだが見当たらず・・・。これもやっぱり雨蓋の中か・・・。
二日目
前日は21時頃には寝てしまい、夜中に1度目が覚めたきり朝までグッスリだった・・・。
何となく外が明るくなったので目を覚ます・・・。テント内は約マイナス6度・・・。外はマイナス10度くらいだろうか?
30分ほどシュラフの中でモゾモゾして起床・・・。
折りたたみ水筒に入れておいた水は少しシャリシャリしているが凍らずにすんだ。念の為にザックに入れて置いたのが正解だった。普通に置いていたら間違いなく凍っていただろう。
竹ペグを掘り出す・・・。昨日の強風の中、これでもかっ! ってほど踏み固めていたので掘り出すのに一苦労する・・・。いくら残置しやすいような素材だからと言って簡単に諦めるつもりは無い。残置するときは命に関わるような時だろう・・・。
大正池からの穂高っ!
西穂から焼岳の稜線上に不穏なガスが・・・。
しばらくブラブラして、大正池ホテルの前でスノーシューを外す。それと、思っていたより早く釜トンネルに戻れそうなのでタクシーを予約しておく。バスで戻るかタクシーで戻るかは釜トンネルの到着時間次第で決定することにしていた。ちなみにここから釜トンネル出口の中の湯バス停までは約1時間。次のバスの時間は11時15分このままじゃ、バス停で1時間待ちになるので、タクシーに決定・・・。
大正池を後にする。穂高もしばしのお別れ〜・・・。
ここから釜トンネル出口まで100人以上の人とすれ違う。やはりスノーシューツアーや雪上ハイキングツアーのような団体さんが多い。この天気と新雪で最高のツアーになったんじゃないかな。
夕方から別の用があったので中央道が混む前に帰ろうと早めの撤退になりましたが、雪の上高地を十分堪能出来ました。
地元に帰ってきて、丹沢の山々を見ているうちに春山もいいな〜、と登りたくなりましたが、さすがに厳冬期の服装と75リッターのザックでは無謀すぎるよな〜と思いとどまりましたが、次回は春の丹沢を楽しんできたいと思います。